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その2 第二話 レッドドラゴン

作者: 彼方
last update 最終更新日: 2025-12-03 16:00:00

11.

第二話 レッドドラゴン

「兄ちゃーん。チュンさん来たよー! 降りてきなって!」

「…………あーー……」

「ちゃっちゃと掃除終わらせてもらって麻雀やろーよー!」

「うるせーな」

「漫画の3巻も持って来たってよ」

ガチャ

ダンダンダンダンダン

「読む」

「あら宏さん、お邪魔してます」

「3巻ってどれ」

「士郎さんが読んでますね」

「おい、士郎。早く読み終われよ。あるいはもう中断しろ」

「あっはっはっ兄ちゃん夢中じゃん。良かったねーチュンさん。兄ちゃんって評論家かってくらい漫画に厳しいんだよ。アニメ化した人気作品とかも兄ちゃんにかかればやれ『子供の命をなんだと思ってる。カスだ』だの、やれ『シリアスなのかギャグなのか、どちらにも振り切れてない。つまらん』だの『自己犠牲を賛美するやつはまず自分から犠牲になりゃいい。その時おれは賛美してやらないけどな』だのとボロクソ言われるんだから」

「やめろ。うるさいぞ士郎」

「それはおそろしいですね。さすがは漫画家の息子です」

「そのかわり良いものは良いと評してくれるのもこの子の良い所なんですよ。なあ、宏。チュンさんの麻雀漫画は面白いよな」

「まあね。例えば毎日同じメンツでやってるからわかる理牌※をあまり丁寧にやらない人の戦略とか面白かった」

「ああ(その人なら)絶対に国士無双の時は理牌をやらないであろうと読ませて国士なやつですね。実際あったことなので面白いから漫画にしてみました」

「へえ、実話なんだ。たしかにおれも国士無双の時にわざわざ丁寧な理牌なんかやらない。せいぜい数牌と字牌をわけるくらいだ。揃えた所でどうせ1枚ずつなんだから。しかしそこにトラップを作れると考えて読ませたというのはかなり本格的な話であるように思う。本格的な漫画はどんなジャンルであれ面白いよ」

「まして麻雀は僕たちも大好きだから余計にねー。ねね、その人ってどんな人なの?」

「国士無双の理牌で罠を仕掛けた人ですか? その人は『リュウハ』という娘です。騙されたのは私ですね」

「へーーー。女の子」

「じゃあそろそろ私は掃除に取り掛かりたいと思います、今日もあとで遊びましょうね。私は浴室と脱衣所の清掃をしてしまいますので」

「ありがとうございます、チュンさん。疲れたら休んでいいですからね」

「お気遣いありがとうございます、ご主人様」

「うん、ところで気になってたんだけどこの『レッドドラゴン』っていういかついペンネームは?』

「(いかついですかね……? 格好いいと思ってましたが)レッドドラゴンはつまり『紅中』という意味です。英語にしただけですよ」

「もしかしてだけど『紅中』っていうのも……仕事上の偽名的な?」

「うふふ、そうです。本名はナイショですよ」

 家政婦紅中、ペンネームはレッドドラゴン。本名は不明。そんなミステリアスな彼女に井之上家の人々は次第に惹かれていくのであった。

◆◇◆◇

※理牌⋯リーパイ。手牌を見やすく綺麗に並べること。

546897→456789 みたいなこと。しかし国士無双はそもそもが 一九①⑨19東南西北白発中 というバラバラの手。丁寧に並べ直す意味はあまりない。

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コメント (1)
goodnovel comment avatar
御実ダン
麻雀はルールを知っているだけで、点数計算も出来ない素人だけど、十分に理解できる丁寧な話作りが素晴らしいです! 面白いです!
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